1. 概観
科学、医学、ビジネス、教育、などさまざまな分野で突出した人材を送り込んでいる慶應グループですが、例えば慶應中等部の過去問を全教科にわたって俯瞰すると、個々の問題はそれほど難しくないことがわかります。
しかし、それぞれの科目において、合格者と不合格者の分かれ目になるポイントがあり、不合格者の受験生は、その「分かれ目」がどこなのかに気づかずとりあえず塾での好成績を目指しているのが現状です。
また、これまでは慶應を目指すお子さんは慶應を受験し、御三家を目指すお子さんは御三家を目指し、という志望校選択におけるある種の「棲み分け」がありましたが、大学付属志向の高まりから、御三家に受かるようなお子さんが慶應受験を志向するケースが多く、元から慶應を目指していたお子さんの合格状況はますます過酷になっています。
また、慶應中等部は近年、入学者定員を10パーセント以上減らしたことも頭に入れておく必要があります。
2. 算数について
(1)算数は毎年「以前、見たような問題だらけ」
慶應中等部の算数の特徴はまず、「以前、塾の教材やテスト、模試、市販の教材で見たような問題だらけ」であることです。しかも、各年の受験生のレベルに保ちたいのか、毎年出る可能性の高い問題も多いです。その意味で、「まとまった数の標準的なパターンの問題をどれくらいしっかりマスターしているか」が合格のポイントになります。
この「しっかりマスターしているか」の尺度ですが、単に解けるというだけでなく「スタンダードな解き方を踏まえているか」もポイントになってきます。コロナ禍では塾でもオンライン授業がメインになりましたが、その中で間違った解き方や迂遠な解き方を訂正してもらえず、塾提供による動画解説なども解き方の過程をかなり簡略化していたりして、効率が良くて応用の効く解き方が身につかずじまいのお子さんが多く発生していました。
こういったお子さんは、「難しい問題が解けても標準的な問題で間違える」「ひとつひとつの解き方のパターンを知らないため、ゼロから解き方を考える必要があり、けっきょく時間切れになってしまう」という傾向が顕著で、入試でもそういった問題が改善できずに第一志望を落としてしまったケースが多く見受けられました。
(2)1に計算、2に計算、とにかく計算力をゴリゴリ鍛える必要あり
(1)で述べたとおり、算数に関しては、各分野まんべんなく出題され、レベルも大手塾の5年生のカリキュラムを終えたら太刀打ちできるものばかりです。また、解答の仕方も「□□.□□㎠」といった感じで数字をカッコに埋める形式になっており、一定の学力を持った受験生なら「なんだ、これならなんとかなるじゃん」という印象を受けるはずです。
ところが、慶應中等部の場合、解答の数字が「ほんとにこの解答で良いのかな?」と思われるものも多く、受験生の感想を聞いても「解き方がわかっていたけど、数字が出なかった」というケースが多く見受けられます。そして、限られた時間でそれなりの問題数が出題されます。このため、慶應中等部においては、5年生までに計算力をゴリゴリ鍛えておく必要があります。
(3)まんべんなく出題されるが、よく出る問題はある。
また、各分野まんべんなく出題されるといっても慶應中等部が好んで出す問題に、
・角度や面積、図形における比の問題
・旅人算(ダイヤグラムやグラフを使ったもの)
・立体の回転問題
・水位が変化する問題
があります。
「立体の回転問題」に関しては、かなり計算が大変な設定になっていたりするので、日頃から、この手の問題で計算が大変な設定(解答が分数になるなど)のものに取り組んでおく必要があります。また、旅人算は慶應中等部の好きなパターンのグラフ、つまり、2人の距離を1本の折れ線グラフで示したものを読み解かせる問題が頻出しており、習熟する必要があります。
2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | |
角度や面積の問題 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
応用レベルの旅人算 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
図形や立体の回転 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
水位の変化 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
また、
・図形の折り返し
・方陣マス的な問題
・虫食い算的な問題
・図形をからめた場合の数
・ライトの点滅や噴水の水の定期的な変化をからめた規則性の問題
も数年に一度出題されており、注意が必要です。
(5年次の戦略)
・まず、計算力の鍛錬に関しては、サピックス生であればテキスト内の「計算コンテスト」を、早稲田アカ生や四谷大塚生であれば「一行計算問題集」、その他の受験生であれば「出題ランキング・計算問題」(日能研)、「出る順計算問題」(旺文社)などにしっかり取り組んでおく必要があります。
・次に典型的なパターン問題をしっかりと身に付けることです。サピックス生であれば「デイリーサポート(特にAからD)」の問題やデイリーチェックテストの問題を、早稲田アカ生や四谷大塚生であれば「予習シリーズ5年・上下2冊」の問題は全て解けるようにしておく必要があります。また、他の塾生であれば「四科のまとめ算数」(四谷大塚)を5年次でマスターしておくことをお勧めします。
(6年次の戦略)
市販のテキストを併用した戦略がお勧めです。具体的には、
・プラスワン問題集(東京出版)
・ステップアップ演習(東京出版)」
に取り組めば、ほぼ慶應中等部の問題は種類・レベルともにカバーできると言えます。
また、模試に関してですが、塾でのクラスも上位でなくテストもそれほど良くない場合は、大手塾の志望校別オープンだけでなく、
・首都圏模試
・四谷大塚合格判定模試
などの標準的なレベルの問題が並ぶ模試を一定回数受けてしっかり復讐したいところです。特に首都圏模試は正しい勉強をすればすぐに模試のスコアが改善されるので、モチベーション向上にもプラスになります。もし同士の日程がバッティングする場合は、模試の過去問を主催者サイトで購入する手もあります。販売されている過去問にも得点に応じた偏差値分析表が付録されているので、自分の偏差値や志望校に関する合格可能性なども把握できます。
(算数に関するまとめ)
合格には、① 高い計算力と問題処理能力、②パターン問題に関する解法がしっかり頭に整理されていることの2つが必要。どちらが欠けても合格は難しい。また「よく出る問題」は5年生の時からたくさん取り組んで対処したい。
3. 国語について
(1)慶應中等部合格のカギは国語かも?
慶應中等部の科目全体を俯瞰しますと、算数も理科も社会も標準レベルの典型的な問題が多く、
どれも対策が立てやすいのが特徴です。ただ、国語に関してはかなり「くせ」があります。
まず、問題構成に関しては、毎年、おおむね、
大問1)長文読解
大問2)長文読解
大問3)漢字もしくは語彙
大問4)漢字もしくは語彙
という構成ですが、大問3)に「語彙のテストをからめた、日本語に対する意識を問うような問題」が出で、問4)と問5)で漢字や語彙というパターンもあります。
2020年第1回の出題の長文は、大問1が「句会に参加した私たちをめぐる物語」、大問2は「日本の和歌にからめた日本語に関する随筆」で、普段、小学生が親しむような文章ではありません。なお、大問1では、問題文内で使用された比喩に関する設問が2つも出ているのですが、この比喩に関する設問は単なる語彙の知識を問うものではなく、語彙に関する知識を前提としながら登場人物の心情把握ができているかを問う応用的なものです。
また、2020年第2回の長文は、大問1は鎌倉時代の史実を題材にした人形浄瑠璃をめぐる「わたし」の旅と思索、大問2はある言葉に関する日本語の表現と英語の表現を対比するエッセイでした。
最新の2023年度の出題、そして2022年度では、大問1は小説だったものの、大問2は2023年度は古典授業を担当する講師が古典を勉強する意義に関して考える授業、2022年度は俳句雑誌に投稿した「わたし」のエッセイでした。
こうして見てきますと、下のテーマ別出題分析の表からも分かるとおり、
2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | |
日本古来の文学にからめた読解 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
日本語について論じた散文 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
物語文 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
論説文 | ○ | ○ | ○ | |||||||
短歌や俳句の鑑賞 | ○ | ○ | ○ |
・俳句や短歌、古文、浄瑠璃など日本文学を鑑賞したり考察するテーマ
・手紙における表現や外来語、日本語の歴史的な変化などに関する「ザ・日本語」的なテーマ
がとても頻繁に出ていることがわかります。
(2)単に語彙が強いだけじゃダメ! 腰を据えて日本語に親しむ時間が必要
ある有名な中学受験塾の代表がメディアで「語彙力と読解力はつながっている」と語っていたことがありますが、慶應中等部の国語の場合、まさにそれを証明するような問題が例年出題されます。ある日本語なり熟語が「その場面ではどういう意味だったのか?」「その言葉を、登場時人物はどう勘違いしたのか?」といった観点で問われるため、単に熟語やことわざを付け焼き刃的に学ぶだけでは、大問1や2の「読解とからめた語彙や日本語に関する出題」に十分対処することができません。
このため、4、5年の時から、現代文の散文だけでなく、ことわざや慣用句、四字熟語はもちろんのこと、古文、短歌、俳句、にも慣れておく必要があります。具体的には以下のように勉強すると良いでしょう。
方法1)国語の問題集や参考書の、国文法や古典文学のコーナーの問題を集めておく。
→市販のテキストで言えば、「出る順 読解」(旺文社)の古典作品の鑑賞問題、「読解の
応用」(啓明館)の古典の鑑賞をからめた読解問題など。
方法2)学年が4、5年生であれば、日本の伝統的な文学(短歌、俳句)や、日本語に関するエッ
セイに親しんでおく。具体的には以下の書籍がおすすめです。
・日本人の知らない日本語1〜4(蛇蔵&海野凪子)
→外国人の夫と日本語学校で教える妻、そして外国人の生徒たちが繰り広げる、日本
語に関するユニークで鋭い珍問答を漫画で描いたエッセイです。日本語の奥深さを
小学生が知るにはぴったりの書籍です。
・たかこ(清水 真裕、 青山 友美)
→平安時代から日本の小学校に転校してきた「たかこ」。学校には十二単(じゅうにひ
とえ)で登校、音楽の時間は一人だけ琵琶を練習、友人との会話は扇子で顔を隠し
ながら、という「たかこ」ですが、昔の日本の言葉が会話の中にわかりやすく登場
し、日本古来の言葉に親しむきっかけにもなります。
・ちはやふる(末次由紀)
→百人一首のカルタ部に入部した主人公を描く大ベストセラーの学園漫画です。
・短歌と俳句の五十番勝負(穂村弘)
→現代短歌界を代表する歌人が、テーマごとに俳人と作品をぶつけ合い、評価の高い
名作も紹介していきます。
・詩の心を読む(茨木のり子)
→有名な詩人が古今東西の詩の名作を紹介し解説する子ども向けの詩歌入門。時代
を超えたロングセラーです。
・声に出して読みたい日本語1〜3(斉藤孝)
→言わずと知れた大ベストセラーシリーズですが、良質な日本語の作品を味わうには
うってつけの作品でしょう。
最近では「子どものための落語」や「子どものための歌舞伎観賞会」など多く催さ
れています。受験という枠を超えて素直に日本語に親しみ、日本語を楽しむ機会を作るこ
とが遠回りに見えて、実は慶應に受かる国語力を醸成するきっかけになりかもしれません。
なお、上記の書籍に触れる前に、国文法の参考書や語彙の問題集をマスターしておくのは
当然に求められます。ここでは特にお薦めのものを紹介しておきます。
・「出る順 ことわざ・語句・言葉のきまり」(旺文社)
・「言葉力ドリル実践編」(学研)
・「書く力をつける」(樋口裕一)
・「中学受験生のための国文法」(Soul Search Press)
(補足1:単なる語彙力の強化ではなぜ慶應中等部合格に不十分なのか)
例えば「事態に対して手をこまねいている」という表現があったとすれば、慶應の場合は、
この「こまねく」というのがどのような動作なのかまで知っておく必要があります。つま
り通りいっぺんの語彙対策では不十分なのが理解できると思います
(補足2:日本の文化にからめた語彙力も鍛える必要)
例えば「穀雨」と聞かれてこれがいつの時期かすぐに答えられる人はいるでしょうか。
正解は稲が伸びるのに必要な雨が降る4月後半を指しますが、このような時期の区分けは、
「二十四節気」と呼ばれるもので、ニュースなどで紹介される各地における季節ごとの行
事に敏感であれば切り抜けることもできるかもしれませんが、学校の教科書や国語の資料
集などに出てくる知識も大切なことがわかります。学校での勉強を舐めてはいけません。
(国語に関するまとめ)
・語彙も漢字もうーんと強い子が有利
・日本語に関する本や、短歌や和歌、俳句などの詩歌に日頃から親しんでおくことも重
要(付け焼き刃では太刀打ちできない)。日本語に対する感性を養いたい。
・論理的思考力だけでは乗り切れない読解文が他校に比べて特に多い。読書家や教養豊
かな精神年齢の高いお子さんが有利。
4. 理科について
慶應中等部の理科は、生物・化学・物理・地学の各分野の標準的な問題が大問ごとに分か
れて出題されます。具体的には、
・生物(植物の知識を問う問題が非常に多い)
・物理(てこなどの力学および電流など)
・化学(水溶液など)
・地学(天体、特に月や星座の問題が非常に多い)
といった感じです。ただし植物などは開成などの御三家なみに深い知識が問われたりする
ので、塾の教材はもちろんのこと、「中学受験のための植物図鑑」(Z会)などは完璧に頭
に入れ、さらに模試や電話帳(各学校の過去問を科目ごとに1冊にまとめた問題集のこと)
で出会った細かな知識をノートにまとめ、植物のイラストも自分でノートに書いてみるな
どした上で頻繁に見返す努力を5年生の頃からやっておく必要があります。
また、「今とき国語教室」(朝日新聞)のサイエンス関連の文章や、小学生新聞のサイエン
スコーナーの記事はスクラップしておくと良いかもしれません。科学時事の知識はSapix
が毎年出す時事問題集でも取り扱われていますが、単年度だけでは足りませんし、また、
直前期に全て吸収できるわけでもありません。
また、国語もそうですが理科も、「勉強だけでなく、自分自身を取り巻く出来事や環境に
敏感であって欲しい」という学校からのメッセージが感じられるような問題が出題されま
す。具体的には「花粉症の原因とされる樹木」や「料理の際に使われる化学素材」「家畜
を悩ませている伝染病」などなど、「生活科学」とでも言うべき「日常を取り巻く“自分ご
と“としての科学」に日頃からどれくらい親しんでいるかが問われることになります。
慶應中等部の合格者に読書家や教養豊かなお子さんが多いのも、その由縁かもしれません。
ちなみに生活科学に関する知識を身につける入り口として「漫画・科学サバイバルシリー
ズ」をお勧めしておきます。
(補足:好んで出題されるトピックも)
慶應中等部では、台風の風力や方角などをたずねる問題が、過去に複数回出ています。
このように慶應中等部が独自にこだわりを見せるトピックが隔年で出されたりもするの
で過去問はまとまった数の年度を分析しておく必要があります。
(理科に関するまとめ)
・出題分野も問題のパターンもオーソドックスだが、処理スピードは特に必要。
・知識が多いお子さんが有利。逆に言えば、思考力に自信がなくてもたくさんの知識を戦
略的に身に付けられるお子さんは合格点に達することも可能。
・好んで出されるテーマもあるので、まとまった数の過去問の分析は重要
4. 社会について
社会に関しては、慶應中等部受験で特に気をつけたいテーマをいくつかピックアップして
詳述します。
(1) 時事に関する知識は5年次から強化を
2023年度の慶應中等部の社会は、「ロシアによるウクライナ侵攻」に大問を丸々1つ
割いています。そして出題内容も歴史年表のように時系列で起こったことを整理させる
ものであり、日頃からニュースに触れていないと厳しい出題でした。
同様に、例えば冬季オリンピックが日本で開催されれば、オリンピックに関するトピッ
クに大問を丸々1つ割いたりします。このように、6年になってから詰め込むのではな
く、長期的に時事問題を勉強していないと対応しづらいのが慶應中等部の時事問題の特
徴です。保護者としては、慶應中等部を目指すお子さんに対しては、勉強のご褒美に任
天堂Switchをやる時間を与えるという接し方ではなく、「今日、ニュースでこんな話題
を扱っていたよ」とか「新聞にこんな記事が出ていたよ、どう思う?」といった切り口
で、意識して時事問題を家族の会話の中で取り上げ、それに対してディスカッションす
る機会を設ける姿勢と努力が求められます。ローマは1日にしてならず、慶應合格も1
日にしてならず、です。
(2)慶應中等部が好んで取り上げるトピックがある
慶應中等部が好んで取り上げるトピックに「祝日問題」や「○○周年問題」があります。
2020年度や平成25年度の問題では、祝日の種類やそれぞれの祝日の創設の経緯な
どを細かく問うものでした。また、「○○制度が発足して○○周年」といった問題も頻繁
に出ます。例えば伊勢神宮の式年遷宮や、内閣制度発足○○年、といった切り口のトピ
ックをネットニュースや小学生新聞、模試などで見つけたらスクラップしておくことを
お勧めします。
(3)憲法の「統治」に関する問題は要注意、突っ込んだ勉強を
公民に関しては、歴代の首相経験者をはじめ、多数の政治家を産んできた学校だけあっ
て、かなり色々なことを問われます。具体的には、
・選挙制度(比例代表選挙当選者の決定処理のトレーニングもしておきたい)
・憲法(条文を丸暗記するつもりで)
・歴代総理大臣(覚えましょう)
・歴代与党(覚えましょう)
・選挙制度のこれまでの改定(覚えましょう)
・「核に関する条約」「環境に関する条約」など、ある政治テーマに沿った年表
といった内容は細かく覚えたいものです。
(4)歴史は日頃から年代の丸暗記を
歴史に関しては、とにかく年表を問われます。具体的には「奈良時代の出来事」とい
ったオーソドックスな時代区分ごとの歴史年表だけでなく、「福沢諭吉の生涯」「日本
のこれまでの大規模災害」「世界の感染症蔓延」など、トピックごとの歴史年表が例
年出題されます。また「19✖︎✖︎年に起こった一連の出来事」といった具合に、大き
な変化が立て続けに起こった年に関しても問われます。
ここではとりあえず、「出る順 歴史年代」(旺文社)など、「トピックごとの歴史年
代問題」がまとめられた問題集をしっかりマスターして、そこから歴史年代に関する
応用的な知識を広げていくことをお勧めします。
(5)日本のカルチャーそのものに関する教養問題や思考力問題もあり
「歴代の国民栄誉賞受賞者」、「日本に特有の住宅の住居構造」、「学校への携帯持ち込み
問題」「和食における配膳に関するルール」などなど、慶應中等部では「日本人として
ちゃんと当事者意識を持って生きていますか?」と受験生に問わんばかりの教養問題
が出題されます。きっと、「社会の勉強というのは、学校や塾での限られた時間、限ら
れた空間だけでやるものではない」というメッセージなのかもしれません。まずは一
般的な教養を身につけるという意味では小学生むけに書かれた「365日の教養」(斉
藤孝)などを手にとってみるのも良いかもしれません。
(社会に関するまとめ)
・各トピックごとの歴史年代
・日本の政治に関する知識
・日本の文化(祝日や季節の行事、風習やならわし、生活様式など)
・時事問題(国内のみならず世界的な出来事も)
は特に鍛えておかないと、社会が好きな受験生に差をつけられてしまう。