【中学受験】塾別の勉強法

  • サピックス対策勉強法

    SAPIXと言えば「塾歴」、「塾歴」と言えばSAPIXと言われるように、御三家をはじめとする難関中学に多数の合格者を輩出しているのがSAPIXです。

    しかし、その高度な内容の教材と精緻なカリキュラム、優秀な生徒層の厚さから、塾内で行われる定期テストでなかなか納得のいく成績を修めることができず、クラスもなかなか上がらずにお悩みの保護者の方は多くおられるのではないでしょうか。

    (目次)

    1. SAPIXの教育システムを改めておさらい
    2. 塾内で行われるテストの種類と対策、クラスと科目別の勉強法
    3. 6年から始まる入試対策の授業で気をつけたいこと
    4. Sapixに合ったタイムマネジメント法とは
    5. 勉強におけるモチベーションをどう確保するか
    6. 市販の参考書をどう併用するか
    7. Q&A(よくあるご質問)
    1. SAPIXの教育システムを改めておさらい

    サピックスの教育システムには大きく3つの特徴があります。この2つの特徴をふまえてお子さんを通わせるのと、何も知らずにとにかく通わせるのでは大きな違いが出てきます。

    • 精緻な反復システム

    これまでの中学受験は、たくさんの問題をこなすうちにだんだん問題が解けるようになり、難しい問題が解ける子は上位校に受かり、そうでない子は実力の範囲で受かる学校を探す、といった感じの、ある意味「大ざっぱ」な構造になっていました。

    ですので、塾のテキストに収録された問題も、同じ学習回で異なる分野の問題が入っていたり、簡単な問題も難しい問題もテキストの中に類題があったりなかったりと、「身につくかどうかはお子さん次第」的な印象が否めないカリキュラムでした。

    そういった既存の中学受験教育に対して、「どんなお子さんでも、こういう教材とこういうカリキュラムで勉強に臨めば、たとえ難関校であっても高い確率で自分の行きたい学校に合格できますよ」というのを示したのがSapixでした。

    例えば、算数は毎回、「初めての内容を学習するB授業」と「先週学習したB授業の内容を復習するA授業」の2コマが1セットとして構成されており、「予習不要で復習重視」の姿勢を前面に出しています。その意味で、「予習シリーズ」を主力教材とする四谷大塚グループや、四谷大塚の教材に準拠する塾とは大きく一線を画しています。

    また、授業の開始前に実施される「基礎力定着テスト」は、過去の複数回の授業をおさらいする内容になっていますし、A授業の後には、先週のB授業と今週のA授業の理解度を確認するための「デイリーチェックテスト」が実施されます。

    さらにSapixでは家庭学習として毎日10問こなす「基礎トレーニング」という問題集が配布されますが、これも「5日間、同じ問題が続く」という構成になっており、基礎トレと同じ問題がデイリーチェックテストで出題されます。

    このように「反復」というコンセプトに十分に意を払ったカリキュラムになっているのがSapixの大きな特徴です。

    なお、子どもの勉強法に関する著書も多数出されている、ある脳科学者は「人は習ったことを2週間復習しなければ、ほとんど忘れてしまう」とコメントしていますが、Sapixの場合「その週に習ったことを翌週におさらいする」という、まさに、「2週間かけてある単元をマスターする」構成になっており、脳の仕組みにも合致する教育システムと言えます。

    【サピックスのカリキュラムの構成(算数の場合)】

    授業の内容使用される教材
    【B授業】 ・初めて学ぶ内容の授業・基礎力定着テスト ・デイリーサポート ・デイリーサピックス
    【A授業】 ・前の週に学んだ内容のおさらい授業 ・「デイリーチェックテスト」という  単元の理解度を確認テストあり・基礎力定着テスト ・デイリーサピックス ・デイリーチェックテスト
    自宅学習・基礎トレーニング

    では理科や社会に関してはどうかと言うと、以下の表のように、やはりこれまで習った内容の復習にも留意したまさに「反復的学習内容」の構成になっています。

    具体的には、

    ・授業の理解度を確認し、さらに理解を深めるための「確認テスト」

    ・授業で習った内容をノートにまとめるような感覚で書き込みながら整理できる「ポイントチェック」

    ・過去複数回の授業の内容をおさらいできる「デイリーステップ」

    ・先週学んだ内容の理解度を確認する「デイリーチェックテスト」

    などです。そして「1問1答形式」であったり、図表や資料を読み解く「思考問題」であったりと多角的に理解を深められるよう、形式の違う複数の問題が収録されています。

    【サピックスのカリキュラムの構成(理科の場合)】

    使用される教材収録されている内容
    デイリーサピックス・単元のテーマに関する、文章とイラストによる解説 ・確認問題(授業の理解度を確認するための問題) ・デイリーステップ(前の週以前に学んだことに関する問題) ・ポイントチェック(知識に関する書き込み式チェックテスト) ・デイリーチェックテスト(前の週に学んだ内容の理解度テスト)
    コアプラス・受験に必要な知識を1問1答の形式でまとめたテキスト。  5、6年の授業では、このテキストを元に小テストも実施。

    【サピックスのカリキュラムの構成(社会の場合)】

    使用される教材収録されている内容
    デイリーサピックス・単元のテーマに関する、文章とイラストによる解説 ・ポイントチェック(授業での板書を追体験できるような書き込み 式の問題) ・確認問題(授業の理解度を確認するための問題) ・発展問題(難関校を意識した問題) ・デイリーステップ(前の週以前に学んだことに関する問題) ・デイリーチェックテスト(前の週に学んだ内容の理解度テスト)
    コアプラス・受験に必要な知識を1問1答の形式でまとめたテキスト。  5、6年の授業では、このテキストを元に小テストも実施。

    これほど「反復学習」に重点を置いた周到なカリキュラムと質の高い教材にもかかわらず、Sapixを上手に活用できていなかったり、成績不振に苦しむお子さんは、たくさんおられます。

    では、どうすれば良いか?

    次の「2. 塾内で行われるテストの種類とその対策」で、教材の活用法と勉強法についてご説明したいと思います。

    • 塾内で行われるテストの種類とその対策

    Sapixで行われるテストには、クラスの変動を伴うマンスリーテストや組み分けテスト、直近1ヶ月間で行われた授業の理解度を確認する復習テスト、授業の中で行われる基礎力定着テスト、デイリーチェックテストなどがあります。

    (授業内で行われるテスト)

    テストの種類科目内容
    基礎力定着テスト算数直近の何回かの算数の授業の復習問題がメイン
    デイリーチェックテスト算数・理科・社会・国語前回の授業の内容
    コアプラスの小テスト理科・社会コアプラス問題集から出題

    ※算数のデイリーチェックテストに関しては、厳密には、前回のB授業とその復習授業(A

    授業)が出題範囲になります。

    (授業外で行われるテスト)

    テストの種類出題範囲クラスの昇降
    復習テスト直近1ヶ月の内容
    マンスリーテスト直近1ヶ月の内容
    組み分けテスト明確には無し(これまでの内容)
    • まずはデイリーチェックのテストに目を光らせること
    • 家庭教師選びの基準にもデイリーチェックを活用を

    では、これらのテストの中で親がどのテストに一番気をつけるべきか?

    まずは、各科目で授業のたびに行われる「デイリーチェックテスト」に十分注意を払いたいところです。なぜなら「塾で習ったことをどれくらい理解しているか」を測るモノサシがデイリーチェクテストだからです。

    例えば、「最近急に成績が落ちてきた」というお子さんであれば直近数回分のデイリーチェックテストを分析し、間違いの原因を把握した上で復習する必要がありますし、6年生で伸び悩んでいる科目があるお子さんであれば、5年生時代も含めた過去のデイリーチェクテストを全て分析・復習する必要があります。

    また、家庭教師選びにもデイリーチェックテストは役立ちます。各紹介会社の家庭教師に体験授業を依頼する時、直近の模試の直しと分析をお願いするご家庭は大変多いです。ただ、模試の場合は、その時々の好不調や模試の難易度の急激な変化にも点数が影響されます。

    その点、まとまった回数のデイリーチェックテストがあれば、復習の有無、そのお子さんの弱みや強み、今後どういう方向で具体的な対策を立てれば良いかも明確になりますので、過去のバックナンバーはしっかり取っておいて活用すべきです。

    • マンスリーテストは組み分けテストに通ず〜その対策法

    マンスリーテストは、直近数回の授業内容を出題範囲とした定期テストです。このテスト結果によってクラスの昇降が決まりますので、ご家庭にとって最も関心のあるテストだと思います。ここでは科目ごとにその勉強法をお伝えします。

    • 算数の場合
    • 下位クラスのお子さんの場合

    まず下位クラスのお子さんや算数を苦手としているお子さんの場合は、

    ・基礎トレ

    ・基礎力定着テスト

    ・デイリーチェックテスト

    ・デイリーサポートやデイリーサピックスの「計算コンテスト」の部分

    の4つの教材の間違い直しを早め早めの段階で終わらせておきましょう。

    なぜ、まずこの3つの教材かというと、いろいろ手を出しすぎて「理解が消化不良」

    「時間が算数にかかりすぎて他の科目が準備不足で共倒れ」というお子さんが多く

    いるからです。そして、それでも余裕がある場合は、デイリーサポートの間違えたところや、デイリーサピックス(冊子)の間違えやすい問題に手を広げると良いでしょう。

    また、4、5年生の間に計算の正確性やスピードの鍛錬を怠っていると、6年生になって大きなツケが回ってきます。下クラスにずっと甘んじているのに「計算コンテスト」を後回しにして難しい応用問題に取り組んでいる保護者とお子さんが見受けられますが、計算力が低いケースがほとんどです。普段からゴリゴリ鍛えましょう。

    • 「上位クラスのお子さん」や「中位クラスだが上位クラスを狙いたいお子さん」の場合

    いっぽう、「上位クラスのお子さん」や「中位クラスだが上位クラスを狙いたいお子さん」は、普段から、

    ・基礎トレ

    ・基礎力定着テスト

    ・デイリーチェックテスト

    ・デイリーサポートのアプローチ問題やA〜Dの確認問題

        は間違ったところを一通りさらっておき、試験直前2週間の間に、デイリーサピッ

    クス(冊子)の問題を数冊まとめて解き、反復度を高め、記憶を喚起させルことが

    必要です。なお、御三家などの難関校を目指す場合は、デイリーサポートやデイリ

    ーサピックスの「思考力の養成」「頭脳トレーニング」「入試問題研究」などにも手

    を出して良いでしょう。ただ、解説を読んでも理解できない代物も混じってますの

    で、その点でもプロ家庭教師は有用です。

    • テスト慣れのトレーニングも必要

    いくら実力があっても上手な時間配分ができないと、残念な結果になってしまいます。

    ・普段から制限時間より5分短く解いて、見直しの時間を確保すること

    ・1、2分程度で「解けそうな問題か」それとも「解けなさそうな問題か」の

     見極めるトレーニングを行うこと。

    ・頭の中で考えるのではなく、途中の過程をメモすること

    ・後半の大問でも最初の小問(1)は簡単なことが多いので、正解&得点を狙う

    こと

         といったことは常日頃から意識したいところです。

    • 国語の場合
    • 下位クラスのお子さんの場合

    まず下位クラスのお子さんや国語を苦手としているお子さんの場合は、国語のAテキストに収録されている読解演習問題を活用したいところです。サピックスの教材はどれも労と費用を厭わず時間をかけてオリジナルに作成されており、素晴らしいクオリティですが、国語のBテキストはどの学年文章が大変長く設問も多いため、かなりの実力がないと、せっかく時間をかけて復習しても「結局、この文章には何が書いてあったんだろう?(頭に何も残ってない)」で終わってしまう危険性があります。この点、国語のAテキストに収録されている読解演習問題は、文章も短く

    選択問題と記述問題、正誤問題などがバランスよく設問されています。まずは読解に関してはAテキストの読解演習をしっかりやりたいところです。

    なお、国語で伸び悩んでいるお子さんには「選択肢の問題の選択肢の切り方が下手」なお子さんが大変目立ちます。サピックスのマンスリーの選択肢問題には「明らかに正解とわかる選択肢」も「明らかに間違いとわかる選択肢」も少なく、文章の該当箇所を素早く参照しながら「ひとつひとつの選択肢を切って、最後に残った選択肢を正解とする」消去法的なテクニックも求められます。その点でもAテキストの活用は重要ですが、塾やご家庭でそこまで丁寧に解説できるわけでもないので、プロの家庭教師の活用が意味を持ってきます。

    また、読解力には実は「漢字や語彙に関する力」と大きな相関があります。国語の成績不振なお子さんには、読解力以前にこの「漢字や語彙に関する力」が弱いお子さんがすごく多いです。Aテキストやデイリーチェックテストに出てくる漢字で間違ったものや知らなかった語いは、ノートにまとめたりして繰り返し復習してマスターしたいものです。

    次にBテキストに関する勉強法ですが、まず本文を読んだあと、

    P: 冊子巻末の「本文の内容を理解するためのカッコ埋めワークのページ」

    Q: 冊子冒頭の「段落ごとの要旨の並べ替え問題」

    に取りかかってから具体的な記述問題に取り組むことをお勧めします。Pページに取り組めば「場面ごとの登場人物の心情」を理解する力が高まり、Qに取り組めば文章の流れもつかめます。このPとQのページに取り組んで答え合わせしてから記述問題に取り組むと、国語が苦手なお子さんも読解問題に対するモチベーションがかなり上がります。

    • 「上位クラスのお子さん」や「中位クラスだが上位クラスを狙いたいお子さん」の場合

    上位クラスのお子さんは、Aテキストをしっかりやるのは勿論ですが「Bテキストをいかにとことん使い倒すか」が重要になってきます。テキストの問題を全てこなすのは当然として、

    ・段落ごとにタイトルを付けてみるトレーニング

    ・著者が最も伝えたいところを見つけるトレーニング

    ・文章全体の要旨を短くまとめたり(50字)、少し長くまとめたり(100字)するトレーニング

    などにも取り組みたいところです。

    • 理科の場合
      • 下位クラスのお子さんの場合

    理科が苦手だと「自分は理系出身だから」と保護者の方が熱を上げてテコ入れしようとしたり、「そうだ理科教室に通わせなきゃ」と考えるご家庭も多いですが、お子さんが理科に興味が持てるようになるまでに受験日が来てしまうこともあります。理科の勉強に対するモチベーションを上げる重要な要素は「理科だって正しく勉強すれば点が取れるんだ」とお子さんが実感することではないでしょうか。その意味では、「短い時間で少しでも得点に直結する勉強」をお子さんと実行していく必要があります。

    具体的には、「デイリーサポートの前半の解説に時間をかけすぎない」

    ことです。ここに時間をかけすぎて、いざ問題を解く段になると全然解けなかったり、必要なことを覚えていなかったりするお子さんがたくさんいます。これは不自然なことではなく、「人は実際に問題を解いて解けたり間違ったりすることを経験し

    ないと憶えない生き物」だからです。

    ですので、もし塾で習ったことをざっとおさらいしてから問題を解きたいのであれば、「ポイントチェック」という自分で板書を作るようなページの問題を、時に前半の解説部分を参照しながら解き、そのあと、確認問題のやさしい問題から取りか買って分からないことがあれば解説部分に戻る、という勉強をお勧めします。

    また、クラスが上がるまではデイリーサポートの発展問題に手を出す必要はありません。発展的な問題は、クラスが上がったときの「お楽しみ」にしましょう。

    受験においては、「知恵なき者は知恵を出せ、知恵なき者は汗をかけ」と言われます。

    つまり、「考える問題が好きなお子さんは考える問題に取り組めば良いですが、それが苦手なお子さんであれば、考える力がつくまでは、知識を磨けばそれをカバーできるよ」という意味です。

    テキスト ボックス: 確認問題やデイリーステップ、デイリーチェックテスト、(5年生なら)コアプラス小テストの間違えたところ、特に知識問題の部分をノートにまとめ、2週間以内に1回は復習する  具体的には、

    というのをお勧めします。

    マンスリーテスト実施後のテストの復習も、

    ・絶対に正解してほしい基本問題

    ・覚えれば得点できる知識問題

    を中心に勉強することが必要です。

    • 「上位クラスのお子さん」や「中位クラスだが上位クラスを狙いたいお子さん」の場合

    この場合は、発展問題に手を出しても構いませんが、「絶対に発展問題を解かなくてはならない」「6年になるまでは発展問題は手を出さない」などと杓子定規に決めないことが大切です。お子さんが発展問題を解きたがっているのに禁止するのもモチベーションの低下につながりますし、また、どう考えても志望校に関係ないような発展問題を必ずしも解く必要はありません。ケースバイケースで判断したいところです。

    • 社会の場合
      • 下位クラスのお子さんの場合

    社会が不振なお子さんの場合、圧倒的に多いのが「基本的な知識が不正確」なケースです。例えば歴史だと、講師も知らないようなマニアックな登場人物が滅ぼされた理由とか、地理だと珍しい作物の都道府県ランキングとかは知っているのに、テストで必ず正解してほしい知識があやふやだったりするケースです。このタイプのお子さんはまず、書き込み式の「デイリーステップ」というページの問題が全部正解するように何度も反復する必要があります。この際気をつけたいのが、このデイリーステップを赤い透明下敷きで赤字の解答を隠して覚えたり、単に見るだけで覚えているお子さんは、漢字の誤字で毎回のテストで失点していることが多いということです。「書くことは正しい人を作る byベンジャミン・フランクリン」です。目で正確に覚える力が身につくまでは、なるべく手を動かしながら学習したいものです。

    また、5年生になり、「コアプラス問題集」の10問テストが授業の中で実施されるようになれば、これもしっかり覚えて得点源にしたいところです。

    そして上記の「デイリーステップ」と「コアプラス社会の小テスト」の復習に加えて「デイリーチェックテスト」の間違えたところをノートにまとめたり、問題に書き込みして復習することが定着すれば、まずは安心です。まずは範囲を絞って反復の回数

    テキスト ボックス: 【社会の勉強法(下位クラスの場合)】 ・デイリーステップ ・コアプラスの授業での小テスト ・デイリーチェックテスト の間違いをしっかりマスターしてからからテキストの他の問題にも手を出すこと。 を増やす作戦がお勧めです。

    • 「上位クラスのお子さん」や「中位クラスだが上位クラスを狙いたいお子さん」の場合

    ここでは勉強法の話に入る前に、昨今の社会の出題傾向についてご説明する必要があります。中学受験の出題傾向は高校受験の出題傾向の影響を、高校受験の出題傾向は大学受験の出題傾向の影響を、大学受験の出題傾向は国(文部科学省)の教育方針の影響を受けて変化していきます。具体的には、近年多く誕生した公立中高一貫校では、適性試験という「与えられた資料から、①情報を整理し、②分析・考察し、③その結果をまとめ文章で表現する」問題の形式を取っており、算数や国語、理科、社会、および社会教養を融合的に使って解く問題が多く出ます。

    そこで、お子さんが行きたい学校が、

    A:この影響を受けた出題になっている学校、なのか

    B:この影響を受けずに従来の勉強で対応できる学校、なのかを

    見極める必要が出てくるのです。

    例えば、都内にある難関の人気有名私立校の社会でかつて、「現在の街の地図と、江戸時代の地図を比較して、これまでにどんな街づくりのルールが制定されてきたかを考え、今後、どのような街づくりのルールが制定されれば、街はどのようになるかを地図上で考える」という問題が出たことがあります。このような問題はAタイプの典型です。

    もし、Aタイプの学校であれば、デイリーサポートの中の「思考力を要求する問題」

    「資料を分析する問題」といった問題にも十分注意を払って勉強する必要があります。

       いっぽう、Bタイプの学校を志望するお子さんはどのような点に留意して勉強すれば

        良いかと言うと、上位校と中堅かそれ以下の学校では、例えば都道府県のデータを比

    較する問題ひとつ取っても、「求められる知識の深さ」が全然違います。そこで毎回

    配布されるサポートに載っているかなり細かい情報も、ノートにまとめるなりして

    フォローしておく必要があります。

    なお、記述問題がたくさん出る学校に関してですが、サピックスではまとまった記述

    対策のテキストがあるわけではないため、毎回の教材やテストに出ている記述問題の

    中で間違ったものを収集してまとめておく必要があります。

    • 組み分けテスト対策について

    組み分けテストは、数ヶ月に1回行われる、マンスリーと違ってクラスの昇降も無制限の、いわば「ガラガラポン」のクラス分けテストです。保護者の皆様からはよく、「うちの子、組み分けテストが全然ダメなんですが、何とかなりませんか?」という声をお聞きします。

    組み分けテストはこれまで習った内容に基づく問題が出ますが、初めて見るような、かなりひねった問題も複数出題されるので、ご家庭としては「手の打ちよう」に困るのも仕方がありません。では、どうすれば良いか?

    まず、組み分けテストでどんな風に点を取りたいか、点の取り方の方針を決めてはどうでしょうか。具体的には、

    作戦A:当たり前の問題を落とさない上で、さらに点数を底上げしたい

    作戦B:難しい問題も善戦して高得点を狙いたい

    の2つの作戦があるのではないでしょうか。

    作戦Aであれば、先述したマンスリーテストでの勉強法を実践していけば、自ずと点数は上がっていくと思います。組み分けテストにも、マンスリーで出題されるような計算問題や標準的なレベルの問題はテストの前半部に配置されているからです。その上で、後半の難しい大問のカッコ1だけ正解するよう努めれば、大幅に組み分けテストのスコアは改善します。

    もし、作戦Bで挑むのであれば、普段使用しているデイリーサポートやデイリーサピックスの「思考力の養成」「頭脳トレーニング」「入試問題研究」に取り組んでおくことが必要です。また、早速それらの問題に取り組み始めた場合は、結果が出るまでに最低2ヶ月から4ヶ月の辛抱が必要です。子どもの学習の成長を表す曲線は直線ではなく2次関数的な直線を描きます。特に算数や国語などの基幹科目は、やったことが即座に結果に反映さるのではなく、ある時から急激に伸びる形を取ります。「正しい方法はいつか報われる」と親子で言い聞かせて継続しましょう。

    • 6年から始まる入試対策の授業で気をつけたいこと

    6年になると土曜日と日曜日(日曜は9月から)に、志望校別特訓やS S特訓といった入試対策が始まります。ここで保護者の方からよく聞かれる声は「白紙(何も解いてない)のプリントばかりもらってくる」「どのプリントの何をやれば良いのかわからない」というものです。

    ここで大事なことはまず、「平常授業の復習時間は絶対に削らない」ということです。今は、御三家に受かるようなハイレベルな合格者でも理科・社会のコアプラスを入試直前まで読み返すなど、「基本知識のメンテ」を怠らずにやっています。最も怖いのは、土日の特別講習に通って応用力が付いた気になって、基本が疎か(おろそか)になることです。

    また、土日の講習の復習やもらってきたプリントにばかり時間をかけると「志望校の過去問の演習と間違い直し」が十分に取れなくなってしまいます。そこで、「何のために土日の講習に行くのか」に関して、

    A:週末、家にいると結局ダラダラしてしまうからB:志望校に直結する問題が解きたいからC:演習をたくさん経験してテスト慣れしたいからD:基本・標準レベルの問題や基本知識をおさらいさせたいから  

    のどれなのか、ご家庭の方針をしっかり決めたいところです。でないと、受験直前になって「あん何時間を拘束されたのに、けっきょく何も残らなかった」ということになりかねません。

    まず、「A:週末、家にいると結局ダラダラしてしまうから」 というのであれば「土日に塾にいる間は全力で取り組めばばそれでよし」にして、自宅では過去問の検討や平常授業の復習に時間を割けば良いと思います。

    次に「B:志望校に直結する問題が解きたいから」という場合は、塾で解いてきた志望校に関係する問題の中で間違ったものの復習をしっかりやり、その中で塾で解かなかったものはしっかりファイリング・保管して、過去問の検討と合わせて解く必要があります。週末の授業では例えば、聖光学院であれば「S E-1②」、麻布であれば「AZ-2③」といった具合に、志望校のイニシャルが付された、過去問やその類題をセレクトしたプリントが配布されます。この教材に収録された問題は、自分の志望校の過去問を解いていて「もっと類題が解きたい」というときに大いに役立ちます。

    また、「C:演習をたくさん経験してテスト慣れしたいから」という場合は、塾で解いて間違えたものだけ復習すれば良いと思います。

    最後に「D:基本・標準レベルの問題や基本知識をおさらいさせたいから」という場合は、塾で解いて間違ったもののうち基本・標準レベルのものと、塾で解かなかったが基本・標準レベルの問題や基本知識のチェックにぴったりなプリントを、選んで家庭学習に活かすことをお勧めします。ただし、土日に配布されるプリントの種類はかなり多いので、いろいろ手を出さず、どの種類のプリントだけやるのか、はっきり決めた方が良いと思います。

    • Sapixに合ったタイムマネジメント法とは

    中学受験生であれば忙しいのは誰でもですが、Sapixでこなさなければいけない問題の量は膨大です。それはSapixが「誰でも志望校や上位校に受かるような精緻な反復システムを敷いているから」です。算数を例に取ると、普通に通っているだけで「デイリーサポートのアプローチ問題で学習→デイリーチェックテストで出題→週3回の基礎力定着テストで出題」といった具合に同じ問題に5回は出会いますし、家庭学習用として配布される「基礎トレーニング」は1週間同じ問題を解くシステムです。理科や社会も「確認問題→デイリーステップ→デイリーチェックテスト」といった具合で反復体制が敷いてあり、全ての科目の反復学習の集大成が定期的に行われるマンスリーテストと言えるでしょう。かかる時間は膨大とはいえ、有効に時間を費やせばその先には輝かしい合格が待っています。

    では、どういう時間の使い方が有効な時間の使い方と言えるのか?

    まず、「お子さんの体質に合った勉強の時間帯を設定すること」が大切です。ご家庭によっては、「よし、もう6年生になるから朝勉の開始だ!」と言って、お子さんを叩き起こして勉強させるようになったものの、お子さんは学校の授業や塾でうとうとしている、というケースがあります。

    実は、睡眠に関する研究で、グーグルの創業者らが出資する財団が優れた研究者に贈る「ブレークスル賞(ちなみに賞金4.3億円!)」を受賞した柳沢正史・筑波大教授の研究によると、「その人が朝型か夜型かは遺伝的に生まれつき決まっている」そうです。ですので元々朝に弱いお子さんが無理に朝に勉強しても、百害あって一理なし、意味がないどころか心身の健康まで害してしまいます。もし朝型でないお子さんが勉強時間をどうしても増やしたい場合は「起きる時間は必ず一定にした上で、寝る時間を無理のない範囲で少しずつ後ろ倒ししていく」ことをお勧めします。

    次に、「①短時間でできる勉強と、②時間をかける勉強、を分けてコマ切れ(細切れ)の時間を有効活用すること」です。

    「時間がなくて宿題がこなせない」というお子さんに話を聞いてみると、「まとまった時間がないと宿題がこなせない」と勘違いしているケースがよくあります。そいう時は、例えば10分間、時間を測って間違いノートを読ませてみます。すると「10分でこんなに読めるんですね」と驚いたりします。普段から時間を意識してないお子さんには、ぜひ「コマ切れの時間の大切さ」を実感させたいものです。

    具体的には、

    ・基礎トレと漢字は学校に行く前(普通の起床時間で時間が取れるお子さんの場合)に15分

    ・寝る前に間違いノートの読み返し(理科と社会で各15分)

    ・塾に早めに着いた時には、基礎力定着テストの開始まで、算数の解説ややり直したノートを

    ざっと見返す

    といった具合に、「細切れの時間で何をやるかを決めてルーチン化する」のが良いでしょう。

    また、1週間でのトータルの勉強時間を記録するのも、モチベーションの向上に大いに役立ちます。将棋棋士で永世7冠を獲得し国民栄誉賞を受賞された羽生善治さんは著書の中で「量は質に転化する」と喝破しました。最初から効率の良い勉強をできる人はいません。まずは「自分は1週間にこれだけ勉強している。そのこと自体は褒められて良いはずだ」「そしていつか結果につながるはずだ」と、日頃の努力を褒め、自分自身を鼓舞する材料にしましょう。また、記録することで、時間の使い方のムダな部分も見えてくるはずです。

    次に、完璧に実行できなくても良いので、その日になすべき「to do リスト」を作ることをお勧めします。何をやり、それぞれにどれくらい時間を費やすのかを書き出してみましょう。

    この「to do リスト」は保護者の方が作っても構いませんが、学習心理学上はお子さんが作って実行し成果に結びつくことが最も学習者の意欲向上につながるとされています。最初は一緒に作りながら、徐々にお子さんの意見も取り入れていくとなお良いでしょう。

    • 勉強におけるモチベーションをどう確保するか

    「うちの子やる気が出ないんです。どうすればいいですか?」という声は、本当によく耳にします。ただ、「やる気」を待っていても永遠に受験は始まりません。「行動に移せば、だんだんやる気は出てくる」と考えて、すぐにできることを書き出して実行していくことをお勧めします。その際に「やれなかったこと」に注目するのではなく、「やれたこと」に注目し、書き出すと良いでしょう。「自分はこれだけのことができるんだ、ということはもっとできるんだ」ということをお子さんに認識してもらうことが大切です。そのためには、書き出して記録し、それを読み返して認識するという作業が有効になります。

    そしてその際には、勉強時間や反復した回数なども記録することをお勧めします。人間の脳は学んだことを2週間以内に復習しないとゼロになってしまうと言われています。ですので、試験直前の2週間で試験範囲の内容で自分がこれまで間違ったところやよく覚えていないところをどれくらい繰り返すがポイントになってきます。「自分はこれだけ勉強して、これだけ繰り返したんだ」というのを認識するのは、勉強やテストに対する大きな自信にもつながります。

    次に、お子さんの行動を促すのに「成績が下がったらテレビーゲームの回数を減らす」という外部的な罰を伴うものも効果は無くはないのですが、受験はお子さんが主役であるものの「家族・塾・家庭教師」のチーム戦でもあります。「親に無理やりやらされた」という子どもにトラウマが残るような働きかけよりも「ここまで、できたら夕方に○○でご飯食べよう」といったささやかな報酬で脳に刺激を与えるやり方が良いかもしれません。そして何よりお子さんの学習意欲を増進するのは、学習計画の策定に少しずつお子さんを関与させ、お子さんの関与によって学習効果が現れたら大きく称賛することです。なお、「やる気スイッチ」はお子さんによって大きく違います。例えば、テストや学習計画で一定の達成を遂げたら、

    ・好きな文房具や本を買う

    ・好きなものを食べる

    ・映画を見にいく

    ・体を動かす

    ・好きな音楽を聴く

    ・友達と遊ぶ

    ・近くの日帰り温泉に行く

    などなど、複数の「やる気スイッチ」を用意しておき、うまく活用することが大切です。

    • 解けた時は大きなリアクション、間違えた時は「今後につながる」フォローを

    保護者の方から「この問題を間違えたので、子どもにキレました」というお話を聞くことがありますが、プロの家庭教師がその問題を分析して見ると、

    ・結果的に間違えたが、かなり考えた跡が見られる

    ・教えたことをしっかり応用していたが、問題がひねってあり、引っかかってしまった

    ・前回もやった簡単な問題をうっかりミスで間違えた

    ・どうしようもない難問で志望校の入試にも出そうにない問題を間違えた

    など、間違った内容にもいろいろな側面、いろいろな事情があることがあります。

    あくまで、学習の目標は「志望校の合格に必要な問題が解けるようになること」であって、「間違いを恐れるあまり、勉強が嫌いになったり、テストの結果を振り返るのが嫌になること」ではありません。間違った問題を保護者と共有するのが怖くなって、カンニングが常習になったり、本当はなぜ間違えたかわかっていないのに「大丈夫、解答見たら納得した。解決したから」とその場を取り繕うお子さんもたくさんいます。お子さんの中には、成績が下がるたびに保護者の方がお小遣いを下げたり、罵倒するので、そのうちお子さんが保護者の声に全く反応しなくなり、普段の感情の変化もほとんど見られなくなってしまったケースがあります。勉強をさせることはお子さんの人生にとって本当に大切ですが、メンタルを害してしまっては元も子もありません。勉強に対して前向きな姿勢を保てるよう後押ししたいものです。

    保護者の方は、間違えた問題をしっかり分析した上で、「なるほど間違えたんだね」と受け止めてあげて、「間違ってはだめな問題」なのか、「間違っても仕方がない問題」なのか、「いずれ解けるようになって欲しい問題」なのかを、客観的に分析してあげて淡々とそれをお子さんに伝える姿勢が求められます。そして「出来て欲しい問題」が解けるようになったときは、しっかりとその問題に「出来たことを」をメモしておき、効率的な復習につなげましょう。

    • 市販の参考書をどう併用するか

    Sapixを利用されているメリットとデメリットに「毎回レジュメを配布される形式」であることが挙げられます。具体的なメリットは「その週に全力を尽くせば良い学習範囲が明確」、デメリットは「プリントやレジュメが多すぎて、(子どもが)どれが分かっていてどれが分かっていないかが、整理・把握しづらい」ことです。競争が激化する昨今の中学入試を突破するカギは、

    「未知の問題やひねられた問題に対応できる思考力を身につけ、他の受験生に差をつけること」ももちろんですが、「受験に必要な知識や、標準的な問題に対する解法が頭の中できちんと整理されているか」というのも重要な要素であり、例えるとこの2つは「クルマの両輪」と言えます。ところが、お子さんの学力についてご質問させていただいた際に「えーっと、Aテキスト10は、全体的によくできていなかったなー、あ、Bテキストも間違えが多かった気が。あとはどれだっけ」とか、さらには「サピでレジュメをもらうたびに、その場その場では直していましたが、どれが解けていてどれが解けていないかがよく把握できていません」といった声をお聞きすることがよくあります。

    学年が変わる節目や、受験数直前に、これまでの数年間のレジュメを全て引っ張り出してチェックして解き直すべき箇所をチェックするには、多大な労力が伴います。このため、「子どもが何を理解していてい何を理解していないか」「何を覚えていて、何を覚えていないか」を一元的に管理する方法として、日頃から、

    ・間違いノートのメンテナンス

    ・保存しておくべき教材や問題の選別

    が重要なのですが、さらに、

    ・市販のテキストを併用した学習管理

    も重要になってきます。Sapixへの対応をうたっている個別指導塾を利用する方法もありますが、講師との相性や通学に取られる時間などを考えると、サピックスのテキストと市販のテキストをうまく組み合わせたフォローができる講師を当会は多く抱えています。

    ここでは、Sapixの5、6年生のための「苦手科目克服」にオススメな参考書を1冊ずつあげておきます。

    国語読解の応用(啓明館)
    算数四科のまとめ算数(四谷大塚)
    理科メモリーチェック理科(日能研)
    社会メモリーチェック社会(日能研)

    その他「低学年向け参考書」「上位校向け参考書」など、お子さん一人一人の状況や目的にあった選択をサポートしています。

    • よくあるご質問(Q&A)

    Q1)家庭教師のサポートを借りて勉強したことはいつ頃、結果に現れる?

    科目にもよりますが、例えば国語や算数といった基幹科目は、知識を暗記するだけでなく思考力も身につけていく必要がありますので、最低4ヶ月は指導を利用されることをお勧めします。

    また、子どもの学習曲線は一次関数ではなく二次関数的な線を描くので、指導によって力はついているものの最初ははっきり点数に現れないこともあります。辛抱強いサポートが必要です。

    もちろん、体験指導や初回指導の段階で「教え方がわかりにくい」「子どもと先生の相性が全く合わない」といった場合は、ご家庭が納得が行くまで講師を選定することが必要です。

    Q2)習い事はやめさせるべきか?

    習い事が「日頃の勉強に対するご褒美」や「ストレス解消」の役割を果たしている場合は、時間をうまくやりくりしながら続けても良いと思われます。見事志望校への合格を果たしたお子さんの中には「週に1時間の書き方教室がストレス解消になって、塾でノートを速くとるのにも役立った」というケースもありますし、「週末の水泳教室のおかげで風邪を引きにくくなり、勉強でのスタミナも伸びた」というケースもあります。

    いっぽう、「将来、海外に羽ばたいて欲しい」という理由で英会話スクールに通わせていながら、塾の復習がろくにできていないといったケースもあります。こういう場合に関しては、受験までに残された時間と受験生としての優先順位をよく考えた上で判断したいものです。

    Q3)子どもに合った学校選びのサポートもしてくれる?

    もちろんです。当会は、学校ごとの特色や出題傾向も含めて、受験に関する最新事情を常に把握しています。勉強方法だけでなく、学校選びに関しても当会にご相談ください。

    Q4)子どもはSapixを気に入っているが、親が成績に満足できていない。

    Sapixをやめさせて他の塾に転塾させた方が良いか?

    まず、Sapixで低クラスに終わっていても、その後、追跡調査をすると有名国立大学や医学部に合格しているケースはあります。そもそもSapixの模試は問題が難しく、レベルの高いお子さんが多数受験するため、他塾の模試よりも低い偏差値が出る傾向にあります。そういった要素も含めて状況を分析する必要があります。また、Sapixの教材はどの科目も種類が多岐にわたるため、教材の中の何を重点的にやるかで大きく状況が変化することもあります。ちなみにSapixの保護者説明会ではその年の6年生が、「どのクラスからどの学校に受かったか」の報告が教室責任者からなされることが多いですが、「え、そんなクラスからあの学校に受かったんだ!」という報告も多くあります。テストの結果だけでなく勉強のプロセスも大切にしながら受験に臨めば、模試の偏差値と志望校の合格偏差値に差が合ってもカバーできる(合格できる)可能性は十分にあります。

    なお、もちろん、他の大手塾や小規模ながら地域では評判の塾などに移って成果が出ることも勿論あります。ご家庭によってケースバイケースですので、ぜひプロ家庭教師の意見をご活用ください。

    Q5)Sapixは動画解説もあるし、教材にも解説がついているので親がサポートす

       れば良いのではないか?

    こういったお声もよく聞くのですが、動画解説は網羅的でなく、一定数の問題をピックアップしたもので、しかも「そこが知りたい」という部分が省略されていたりします。また、印刷教材も同様で、「授業をしっかり聞いて欲しい」というコンセプトから、文字による解説も必要最小限にとどめているため、保護者の方がお子さんに説明しようとしても「この解説の部分がよくわからない」ということが頻繁に発生したりします。何より一番怖いのは、「いろんな人がいろんなアプローチ(解き方や考え方)を披露するので、お子さんの頭の中が混乱して、体系的か理解や思考方法が得られなくなってしまう」ことです。

    Q6)1週間の勉強時間は何時間必要?

    まず4年生を例に取ると、国語のB(読解)テキストを早足で復讐しても1時間は最低かかります。そしてAテキストやデイリーチェックテストで間違った漢字や語彙の復習に30分、授業で扱わなかったところに30分で、やはりA授業の復習も合計1時間。というわけで国語は最低でも合計2時間は必要です。

    次に算数ですが、授業で間違えたところの解き直しと、授業で扱わなかったところの勉強はA、Bそれぞれの授業で1.5時間、つまり合計3時間は必要でしょう。そしてデイリーチェックテストや基礎力定着テスト、基礎トレの復習にかける時間を含めると、算数は1週間で最低5時間は必要です。

    そして、理科と社会ですが、テキストの問題を解くだけでも1.5時間は必要です。そしてデイリーチェックテストを含めた間違い直しに必要な時間も同様に1.5時間と見積もると、理科も社会もそれぞれ1週間で3時間は必要です。

    結局、4年生の場合、最低でも国2+算5+理3+社3で14時間は、1週間に勉強する必要がありそうです。

    そして、5年生になると、問題の量も増えて内容もレベルアップしますから、さらに必要な勉強時間は増え、最低20時間は必要ではないでしょうか。

    そして、サピでの上位クラスや受験での上位校を目指すお子さんであれば、発展問題にも手を出す必要があり、反復の回数も増やす必要があるので、さらに勉強時間は必要と言えます。

    勉強はもちろん質が大事ですが、まずは量を確保できなければ質も確保できません。「何の科目の何の作業ににどれだけ時間が必要か」をざっとで良いので積算して、それが実行できたかどうかの勉強家計簿を作ると良いでしょう。時間の使い方に無駄はないかどうかもチェックできますし、行き当たりばったりの勉強スタイルも確実に治るはずです。

    Q7)理科や社会の記述対策はどうすれば良い?

    記述対策に特化した授業があるわけではないので、苦手なお子さんは、普段から教材やテスト(デイリーチェックテストや模試)に時々出てくる記述問題を収集・整理・保存しておく必要があります。なお、記述P R Oシリーズ(数研出版)など最新の記述対策のテキストなども市販されていますが、志望校の傾向に応じて使い分ける必要があります。なお、絶版のもの(名著が多い)も含めて入手する用意があれば、さらに対策の幅は広がります。

    Q8)テキストの内容が志望校の出題傾向に合致していない気がする

    最近の出題の傾向として、

    P: 昔ながらの出題構成

    の学校と、

    Q: 公立中高一貫の学校の出題の影響を受けた出題構成

    の学校の2タイプがあります。

    Sapixのテキストは常にマイナーチェンジされており、また、サピックスオープンといった模試でもBタイプテストという、上のQのタイプに近しいスタイルの出題がなされているので、

    公立中高一貫校を除けば、基本的にはどのタイプの学校にも対応できていると思われます。

    ただ、各学校ならではの出題傾向や問題の特色はありますので、市販のテキストやその学校に強い家庭教師などを活用した独自の対策は有用だと思われます。

    Q9)質・量ともにSapixの教材を、次の新しい授業までにこなしきれない

    Sapixの平常授業の教材の特徴として、算数のデイリーサピックステストはレベル別になっているものの、それ以外の教材はどのクラスでも共通です。それはまさに「どのクラスのお子さんでも努力と工夫次第で上位クラスに行ける」というSapixからのメッセージだと言えますが、

    上位クラスのお子さんにとっては、教材すべてをこなせば良いわけでもありませんし(簡単に解けるものを何度解いても時間の浪費です)、下位クラスのお子さんにとっては、もう少し力がついた時点で解いた方が良い問題もあります。そういった要素を考えながら1週間の学習スケジュールを考える必要があります。具体的には、

    A: やらなくて良いもの

    B: 次の週にやれば良いもの

    C: マンスリー直前2週間でやれば良いもの

    D: 組分け対策の勉強時にやれば良いもの

    E: 学年が上がってからやれば良いもの

    と分類しておく必要があります。「そのお子さんに合わせた問題の重要度」をしっかりと把握しておけば、重要でない問題にかける時間を、重要な問題の反復に回すことができます。また「単に教材をこなすためだけに睡眠を削って勉強し、肝心の塾での授業では眠気でぼんやり」といった悪循環を切断することもできます。

    Q9)α(アルファ)クラスに上がれたり、常にα(アルファ)クラスにいる子

       の共通点を知りたい

    昔の中学受験というのは、「力の5000題」のような大量の問題が羅列されたテキストをこなしてそこから何かをつかみ取ったお子さんが受かる、「上澄み液」をすくいとるような受験でした。その後、四谷大塚の予習シリーズのような体系的な学習テキストが生まれ、それをさらに合理的に体系的に「どんなお子さんでも無理なく中学受験の力がつく」システムを編み出したのがSapixです。このSapixで上位を維持しているお子さんは、ずばり「計画を立てて→実行」という当たり前のことが常に出来ているお子さんです。

    (T字型の学習マネジメントの例)

    ○月○日
    計画したこと(Plan)実際にやれたこと(Did)
    □ 塾での宿題           OK(できた)
    □ 市販のテキスト           ×今週は出来ず
    □ テスト直し      OK
    □ 間違いノートの見直し       OK
    □ etc□ ベーシック割合p2〜8

    この「① まず、計画を立てる → ② 実行する」のT字型のプロセスを繰り返す中で、「計画の内容が悪いのか」それとも「実行が悪いのか」を分析して常に修正していくことになります。

    この計画は、塾で言われた宿題をこなすだけでは、お子さんの強みを伸ばしたり弱い点を克服することはできません。というのは塾で出される宿題は「このクラスでは、これだけは最低限やってね」というクラスごとの一律的なメニューで、個々のお子さんに着目したオーダーメイドなメニューではないからです。

    今こなせている家庭学習の20パーセント増し(質・量ともに)のメニューを策定し、愚直に挑戦・実行できるかが塾内での昇級のカギになります。


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